■農地転用許可制度の概要
農地転用許可制度は、国土の計画的かつ合理的な土地利用の観点から、農業と農業以外の土地利用計画との調整を図りながら、優良農地を確保して、農業生産力を維持するとともに農業経営の安定を図るものです。
■農地転用許可制度の目的
1.効率的かつ生産性の高い農業の基盤となる「優良農地」を確保します。
2.市街地に近接した地域の農地から順次転用していくようにし、計画的な土地利用を推進し、適正な国土利用を実現します。
3.具体的な土地利用を伴わない資産保有目的・投機目的の農地取得を禁止します。
4.農業との土地利用調整を行った上、都市的利用等他用途への転換要請にも応えつつ、公共施設の整備、地域開発のために必要な用地利用の円滑化を図ります。
■転用許可申請
農地を農地以外にする場合には、農地法に基づいて、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければなりません。
※市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届け出ることにより許可が不要になります。
※「農業振興地域の整備に関する法律」に基づく農用地区域内の土地の場合には、事前に農用地区域から除外する手続きが必要です。
●農地法4条許可 → 農地を農地以外にすること
●農地法5条許可→農地を農地以外にするために権利の移動・権利の設定をすること
備考1:権利の移動・権利の設定とは、所有権の移転または使用収益を目的とする権利(賃借権、地上権、質権、使用貸借権)の設定をいいます。
備考2:農地以外にするとは、一時的に耕作できない状態にする場合も含みます。
(1)許可申請者
条文 |
申請者 |
例 |
農地法4条 |
農地を転用する者 |
土地所有者 |
農地法5条 |
農地の権利を譲り渡す者と譲り受けて転用する者の両者 |
売主−貸主 貸主−借主 |
(2)許可権者(許可権者は、転用する農地の面積によって異なります)
転用する農地の面積 |
許可権者 |
申請窓口 |
4ヘクタール超 |
農林水産大臣(関東農政局が処理) |
県農業政策課 |
2ヘクタール超〜4ヘクタール以下 |
埼玉県知事(県農業政策課が処理) |
市町村農業委員会 |
2ヘクタール以下 |
埼玉県知事
(県農林振興センターが処理) |
市町村農業委員会 |
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■農地転用の許可基準
1.立地基準
優良農地を確保するという農地転用許可制度の目的から、農地法では、市街地に近接した地域から順次転用されるようにしています。
2.一般基準
上記立地基準に適合する場合であっても、次のいずれかに該当する場合は許可されません。
1)農地を転用して申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
・必要な資力及び信用があると認められない場合
・転用行為の妨げになる権利を有する者の同意を得ていない場合
・許可後停滞なく申請に係る用途に供する見込みがない場合
・申請に係る農地と一体して事業の目的に供する土地を利用できる見込みがない場合
・転用面積が適正でない場合
・工場、住宅等の土地造成のみが目的である場合
・申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合において、これらの処分がなされなかったこと又は処分がなされる見込みがないこと
・土地の造成が目的である場合
2)周辺の農地に係る営農条件に支障が生じるおそれがあると認められる場合
・申請に係る農地の転用行為により、土砂の流出または崩壊その他災害を発生させるおそれがある場合
・集団的に存在する農地を蚕食し、または、分断するおそれがある場合
・日照、通風等に支障を及ぼすおそれがある場合
・農道、ため池その他農地の保全または利用上必要な施設の機能に支障を及ぼすおそれがある場合
3)一時的な利用に供するために農地を転用後、農地に復元する見込みがない場合